ペルシャ絨毯の基礎知識

ペルシャ絨毯の基礎知識

ペルシャ絨毯とは

『ペルシャ』とはイランの旧称で、『ペルシャ絨毯』とはイランで手織りされた絨毯をいいます。
ペルシャ絨毯は最古の絨毯として知られ、約3000年前のものが発掘されています。

元々は、身分の高い王族が無事に来世に行けるように、来世でも高い地位につけるようにと祈りを込めて、遺体と共に埋葬されていました。時代とともに用途は変わりましたが、昔からシルク製のペルシャ絨毯は権力や富の証として、王族の鑑賞用、各国への贈答用としての使い方がされていました。

有名産地で織られた上質なアンティークは、現物資産としての価値があり、投資用に購入されることもあります。ペルシャ絨毯は、長い歴史と手織りとは思えないほどの精巧なデザインで美術品としての価値が高く、現在に至るまで世界的な人気を誇っています。

 

 

最近では、レーヨン製の機械織り絨毯にシルクのフリンジとエッジだけを人の手によって縫い付けたものがペルシャ絨毯として出回っていることも多いです。有名工房の作品を巧妙にコピーしたものも流通していますが、化学繊維の機械織り絨毯にペルシャ絨毯としての価値は全くありませんので注意が必要です。

また、レーヨンは「バンブー(竹)シルク」「人造(人工)シルク」などと呼ばれてはいますが、シルク(絹)とは関係なく、植物に含まれる繊維質を抽出し、化学薬品で溶解してから再生した化学繊維です。天然繊維ではありません。

 

ペルシャ絨毯の織り技術は世代を越えて受け継がれてきました。長い月日をかけて、一枚一枚を職人の手仕事で作り上げます。ペルシャ絨毯とは、空間を彩り足元を快適にする実用品であるとともに、長い歴史を誇る伝統手工芸品です。

また、その緻密な美しさは観る者に癒しを与え、想像力やクリエイティビティを掻き立てます。心が弾むとっておきの1枚は気持ちを奮い立たせる力を持ちます。

ペルシャ絨毯を飾ることでお部屋がパワースポットのような特別な場所になることでしょう。

 

ペルシャ絨毯の特徴

 

以下に、大きく5つに分けてペルシャ絨毯の特徴を記します。


1. 繊細で複雑なデザイン
ペルシャ絨毯はバランスのとれたデザインや、繊細で複雑な文様が特徴です。
花や植物、動物、幾何学模様など、さまざまなモチーフが組み合わせられて独特の美しさを生み出しています。
手織ならではの緻密な細工が施されており、豪華な見た目が魅力的です。

2. 豊富な色使い
ペルシャ絨毯は、鮮やかな色が特徴であり、様々な色が上手く組み合わせられています。
天然染料から得た色や地域の文化に基づいた伝統的な色使いが見られ、絨毯を通じて色彩豊かな世界を楽しむことができます。

3. 高品質な素材
ペルシャ絨毯には高品質な天然素材を用いて製作されており、パイルにはウールやシルクが使用されます。
これらの素材は耐久性が高く肌触りもよいため、絨毯の品質を保ちながら快適に使用することができます。

4. 手織の職人技
ペルシャ絨毯は、古くから続く伝統的な手織の技術により製作されています。
熟練した職人が手作業で織りあげることで、独特の美しさや丈夫さが生まれます。
手織ならではの緻密な細工や高度な技術が、ペルシャ絨毯の価値を高めているのです。

5. 文化と歴史の象徴
ペルシャ絨毯は、イランの文化や歴史を象徴する伝統手工芸品として位置づけられています。
ペルシャ絨毯には、地域の伝統や民俗、信仰などが反映されており、イラン文化の一端を垣間見ることができます。

産地による特徴

            
イラン国内には多くのペルシャ絨毯の産地があり、産地特有の特徴があります。
町や村、部族の人々が長きに渡って受け継いできた伝統や技術、スタイルというものが存在するのです。

そうしたことから、ペルシャ絨毯は単に敷物として使用されるだけでなくコレクションの対象とされることもあり、とりわけ欧米にはペルシャ絨毯のコレクターが大勢います。
サファヴィー朝期のペルシャ絨毯の中には、海外の有名なオークションで何億円から何十億円もの値を付けるものさえ存在するのです。


イランは洋の東西を結ぶ中東最大の国の一つです。
その昔、イランはシルクロードによって東アジアとヨーロッパに繋がっていました。
東西文化の架け橋であるイランで製作されたペルシャ絨毯は、ヨーロッパの施設や一般家庭にも多く敷かれています。
2010年、ファースとカシャーンの「絨毯織りの伝統工芸」がユネスコの人類無形文化遺産リストに追加されました。
原油はイランにとって最も重要な輸出品ですが、多くのイラン人が依然として絨毯産業に従事しています。

しかし、若い世代の人たちは地味で根気のいる作業を避けるようになっているため、割合は減少しているのが現実です。
世界の手織絨毯の輸出におけるイランのシェアは、2011年から2022年の間に25.5%から7.4%にまで減少しました。

ペルシャ絨毯の価値


ペルシャ絨毯の価値を評価する際に明確な基準はありません。
ペルシャ絨毯は手織であるため、たとえ同じ規格を用いて製作されたとしても、異なる織手によって製作された2枚の絨毯には、ある程度の差異が生じます。
ペルシャ絨毯の価値の評価するのは他の工芸品や美術品などと同様に、とても複雑な作業です。
個々のペルシャ絨毯にはデザインや色、織りの密度や仕上がり等に必ずや違いがあるからです。
ペルシャ絨毯の価値を判断し、各作品に価格を付ける際には、考慮すべき要素がいくつかあります。
ペルシャ絨毯の価値に影響を与える主な要素を以下に記します。
ただし、これらの要素は一部であり、ペルシャ絨毯の価値は需要と供給のバランス、経済状況、市場の動向、その他の諸要因により変化する可能性があります。

1. 素材
ペルシャ絨毯に使用されるウール、シルク、木綿などの素材は、すべて価値に影響します。
一般に素材の品質が高ければ高いほど、価格も高くなり、素材がどこの産かによっても影響を受けることがあります。
人件費と同様に、材料費も年々上昇しています。
よって、新しいペルシャ絨毯ほど、材料費が高くなっている可能性があります。

2. デザイン
ペルシャ絨毯は敷物であるとともに伝統工芸品でもあります。
そのため、鑑賞されるものとしての美的要素が価値に影響します。
統一感のある複雑なデザインで配色がそれに調和していることが望ましく、それが満たされているペルシャ絨毯は価格も高くなる傾向があります。

3. オリジナリティ
デザインや色が珍しいペルシャ絨毯は希少であるがゆえ、価値が高くなります。
人は誰もが持っていないものを欲しがるからです。
コレクターともなれば尚更であることは言うまでもないでしょう。

4. ノット数
一般にノット数が多いほどペルシャ絨毯の価値は高くなります。
ノット数というのは絨毯全体の結び目の数ではなく、一定の面積の中にある結び目の数、つまり織りの密度のことです。
ノット数が多ければ、完成までに要する日数も増えますし、より複雑なディテールを明確に表現することも可能になります。
ただし、ノット数に関しては都市部の絨毯でのみ使用される要素であり、農村部や部族の絨毯では考慮されないことを知っておく必要があります。
農村部や部族の絨毯は、高度な織機や道具を利用できないため、ノット密度が低くなるのが当たり前だからです。

5. 文化と歴史の象徴
ペルシャ絨毯は、イランの文化や歴史を象徴する重要な工芸品として位置づけられています。
ペルシャ絨毯には、地域の伝統や民俗、信仰などが反映されており、イラン文化の一端を垣間見ることができます。

6. 人件費
ペルシャ絨毯を生産するために使用される労働力は重要な費用です。
素材やデザインに関わるコストをも含めた人件費は年々上昇しており、その結果、ペルシャ絨毯の価格が上昇しています。
敷物が最初から最後まで手作りされる場合、織り手はその技術と芸術性に対して報酬を得る必要があります。
すべての結び目は手作業で結ばれており、絨毯の完成時には、織師が数え切れないほどの時間を費やしたことを意味します。
そのためペルシャ絨毯を購入する際、ノット数は価格に大きな影響を与える可能性があるため、これらのコストを考慮することが重要です。

7. 織りの技術
ペルシャ絨毯を作る際の織りの技術も、絨毯の価値に影響を与えます。
経験豊富な熟練織師ほど、より高品質なペルシャ絨毯を製作できます。
有名工房の下で作業している場合は更に高い品質が期待できるため、絨毯の価格も上がります。
ノットが均一で一貫しているほど、作品の完成度が高くなるからです。
これは、とりわけ織師が大きな絨毯の製作する際に顕著となります。
複数の織師が並んで作業を進めるため、均一な織りを実現するためにそれらを同期させる必要があります。

8. 産地の信頼性
ペルシャ絨毯の産地も価格に影響します。
タブリーズ、クム、カシャーン、ナイン、イスファハンなどは高品質な絨毯を産出する町として世界的に有名です。
これらの町で製作されたペルシャ絨毯は人気があるため、他の産地の絨毯より高価になる傾向があります。

9. 仕上がり
絨毯の仕上がりも価値に影響します。
歪みがなく、バランスよく仕上がったペルシャ絨毯の価格は高くなるのが一般的です。
もちろん手織である以上、多少の誤差は生じますが、正確に仕上がっているものほど価格は高くなります。
これはデザインの対称性にも当てはまり、例えばメダリオンの上下左右が完全に対象である場合、価格は高くなることがあります。

10. ブランド
ペルシャ絨毯の中には、作家やブランドの知名度により、価値が高くなるものがあります。
デザインの美しさと品質の高さで知られる一流のブランドは、ペルシャの価値に大きな影響を与えます。
セーラフィアンやアラバフなど、世界的に有名な工房で製作されたペルシャ絨毯は、より高価になります。
これは、エルメスやルイ・ヴィトンなどのファッション・ブランドの認知度や品質に対する信頼と同じことです。

11. 製作年代
一般にペルシャ絨毯は古ければ古いほど価値が高くなります。
ただし、パイルの損傷や修理痕などがなく、良好な状態を保っていることが条件です。
アンティークやオールドのペルシャ絨毯の場合、その希少性が大きな要素となることがあります。
たとえば、作品が既に存在しない工房で作られたものである場合、製造されなくなったものを見つけるのは困難になるため、その価値は更に高まるのが一般的です。


ペルシャ絨毯の長所と短所

 ペルシャ絨毯の長所と短所を知ることは、購入する前に必要不可欠なことです。
ただし、ペルシャ絨毯の長所ばかりに目をやったり、逆に短所ばかりを気にしてしまうと、冷静な判断ができなくなってしまいます。
ペルシャ絨毯の長所と短所を正解に把握し、後悔のない買物をしなければなりません。
ペルシャ絨毯には様々な種類があり、種類によって長所と短所も違ってきます。
それらを知っておけば誤りのない商品選択が可能となり、後悔のない買物ができるはずです。
絨毯商は都合のよいことしか言いません。
彼らのの言うことを鵜呑みにせず、自身で正しい判断ができるようにしてください。

ペルシャ絨毯の長所


ペルシャ絨毯は、高い品質と美しさ、長寿命を持つことから、多くの人々に愛されています。
購入を検討する際には、素材やデザインだけでなく、製造工程や歴史なども考慮して、自分に最適な絨毯を選ぶことが重要です。
ペルシャ絨毯の長所と短所を知って生活状況やニーズに応じて自分にとって最適な選択肢を選択することができる非常に重要な問題です。

1. 天然素材
ペルシャ絨毯は高品質な羊毛やシルクなどの天然素材を使用しており、手織の技術と素材の組み合わせによって絨毯の質感が向上し、肌触りがよいだけでなく、長期間にわたり美しい風合いを保つことができます。
また、機械織絨毯にはレーヨン、ポリプロピレンなどの合成繊維が使用されることがあり、これらは呼吸障害などの様々な過敏症を引き起こす可能性があります。
ペルシャ絨毯に使用されている素材はすべて天然繊維なので、過敏症などの心配がほとんどありません。

2. 繊細なデザインと美しい色彩
ペルシャ絨毯は熟練した職人によって手作業で織られており、緻密で繊細なデザインや複雑な模様が特徴です。
また、ペルシャ絨毯の中には天然染料を用いて染色されたものが数多くあります。
その色は時を経るにつれ味わい深さを増してゆきます。
手織ならではの独特な美しさや緻密な細工は、ペルシャ絨毯の価値を高める要素となっています。

3. 耐久性と長寿命
ペルシャ絨毯は、熟練した職人によって丁寧に手織されています。
また高品質な素材が使用されているため、耐久性が高く長寿命を持っています。
適切な手入れを行い、適切な環境で保管すれば、ペルシャ絨毯は長い期間にわたって使い続けることができます。

4. 豊富な種類
ペルシャ絨毯には、様々な産地の伝統に基づいた特徴があり、豊富な種類から選ぶことができます。
都市部の絨毯、農村部の絨毯、部族の絨毯と、異なるスタイルがあり、それはそれぞれの産地により更に細分化されます。
独自の文化や歴史を反映した絨毯は、部屋の雰囲気を豊かにし、個性を表現するのに役立ちます。

5. 投資価値
すべてのペルシャ絨毯に当てはまる訳ではありませんが、ペルシャ絨毯の中には投資価値が見込めるものが存在します。
優れた状態を保ち、適切な管理を行えば、絨毯の価値が時間と共に上昇することがあります。


ペルシャ絨毯の短所


どんなものにも長所があれば短所もあります。
ペルシャ絨毯の短所を説明する絨毯商は皆無に等しいと思われますが、実際にはいくつかの短所があります。
それらについても説明しておかなければフェアではないでしょう。
以下にペルシャ絨毯の短所についても説明しておきますが、これらの短所はすべてのペルシャ絨毯に当てはまるものではありません。

1. 高価格
ペルシャ絨毯は職人の手作業によって長い月日をかけて製作されます。
また、素材には高品質なウールやシルク、木綿が使用されるため、比較的高価格で販売されています。
そのため、予算が限られている人には手が出しにくい場合があります。

2. 移動が難しいものがある
ペルシャ絨毯の中にはビジャー産やモダン・ギャッベのように、他の産地の絨毯に比べてかなり重いものがあります。
小さなサイズであればそれほどではありませんが、大きなサイズともなれば、かなりの重量となり、一人での移動は困難となります。
そのため家具の配置を変える際や掃除をするときなどに手間がかかる場合があります。

3. メンテナンスが難しいものがある
ペルシャ絨毯に使用される素材の中でもシルクはデリケートな素材であり、汚れやシミの処理が難しいことがあります。
特に、染料が滲んでしまった場合などは完全に取り除くのが難しいことがあります。
また、シルクは湿気によりパウダリングすることがあります。
パウダリングとは繊維が酸化して組織が崩れ、粉末状になってしまう現象です。
パウダリングしたシルク絨毯を元の状態に戻すことはできません。

4. 染料の退色
ペルシャ絨毯の染料は自然素材から作られることが多く、日光や洗濯などの要因により、染料が退色してしまうことがあります。
これは染物である以上、避けられないことですが、直射日光の当たらない場所に敷く、レースのカーテンを使用する、クリーニングは専門の業者に依頼するなどの対策をとることで退色を軽減することができます。

5. ウールの臭い
絨毯店に入ったことがある方ならお分かりでしょうが、ウール絨毯にはウール特有の臭いがあります。 単品では気になるほどのものではありませんが、大量の在庫を抱える店舗では塵も積もれば山となるで、臭いが溜まってしまうのです。
一般家庭でそれほど大量のペルシャ絨毯を溜め込むことはありませんから、通常は臭いが気になることはないでしょう。
しかし、稀に湿気が多くなる梅雨の時期などになると、臭いが気になってしまうことがあります。
これは絨毯に使用されているウール(羊)の種類によるものと考えられ、一般に都市部の絨毯よりも農村部や部族の絨毯にその傾向が見られます。
ウールそのものの臭いであるため、クリーニングをしても完全に消すことはできません。
ただし、その臭いが好きという人がいるのも事実です。


ペルシャ絨毯の分類

213cm x 147cm ペルシャ絨毯 カシャーン産 Decorworks

 ペルシャ絨毯の分類の方法は様々ですが、一般には素材、スタイル、産地、パターン、年代などによって分類されます。
これらの分類方法を組み合わせて、より詳細に分類することも可能です。
こうした数々の分類方法が存在していることは、ペルシャ絨毯の多様性を如実に物語っていると言えるでしょう。



素材による分類

ペルシャ絨毯はウール絨毯とシルク絨毯とに大別されます。
わが国ではシルク絨毯の人気も高いのですが、世界的に見ればウール絨毯の方が圧倒的に人気があります。
ただし、これは優劣を示すものではなく、素材の特性や、使用する環境、生活習慣の違いから来るものであると考えてよいでしょう。
ここではウール絨毯とシルク絨毯のほかに、金属糸を使用したものもある「スフ」と呼ばれる浮織の絨毯に絨毯についても解説します。

ウール絨毯

305×255cm  ペルシャ絨毯  ナイン産 ハビビアン Decorworksイラン高原においてウール絨毯がいつ製作され始めたのかは明らかにされていませんが、おそらく3000年以上前にまで遡ると考えられています。
いわばウール絨毯の歴史はペルシャ絨毯の歴史でもあるといってよいでしょう。
現在もペルシャ絨毯の全生産量のうち96%をウール絨毯が占めています。
ウール絨毯は、その高品質な素材と特性から、美しさと実用性を兼ね備えた魅力的なインテリアアイテムとして世界中で人気を集めています。


ウール絨毯の特徴はその保温性と耐久性にあります。
ウールは内部の熱をより多く保持し、寒い季節に最適なカーペットです。また、この機能は熱では逆に働きます。
繊維が弾力性があり丈夫なため、ペルシャ絨毯に適した素材です。ウールのペルシャ絨毯は耐久性が高く、長期間使用することができます。
またウールは自然な油分を含んでおり、汚れが付きにくい特性があるため、ウール絨毯は汚れに強く、手入れが比較的容易です。
身体に優れた治癒特性もあり、座ったり休んだりすると、体の血液循環が良くなります。神経をリラックスさせ、体の汗を吸収し、眠りやすくし、筋肉痛を和らげるなどの利点もあります。
ウール絨毯はバリエーションの多さも魅力です。
ウール絨毯にはパイルの一部にシルクを使用するパート・シルクの技法が用いられたものもあります。


シルク絨毯

100×40cm ペルシャ絨毯 クム産 ムラーヂー房 シルク100%証明書付 - Decorworks

ウール絨毯に比べるとシルク絨毯の歴史はかなり浅く、17世紀になってから製作され始めたいわれます。
サファヴィ朝期に製作されたシルク絨毯としては、アッバス2世廟に敷かれた動物闘争文様のものです。
特有の光沢による美しさがシルク絨毯の一番の魅力です。
シルク絨毯の輝きは素晴らしく、見る角度を変えるだけで色が変わって見えます。
パイルが短く、薄くて柔らかく軽いため、移動が楽なことも大きな利点です。

絹糸は蚕の繭から採取されるため、自然な仕上がりがあります。
ウール絨毯に比べてノット数が多いのは、絹糸が細いためです。
シルク絨毯の価格が高い理由の一つは高いノット数です。
シルク絨毯が高価なのは素材が高価であるということ以上に、ノット数の多さが影響しています。
絹糸が織りなす色合いと釉薬がとても美しく目を惹きます。
ただし、シルクはデリケートな素材であるため、取り扱いが難しいのが最大の欠点です。
シルクという素材は引っ張る力に対しては強いのですが、摩擦には弱いので往来が多い場所にシルク絨毯を敷くのはお勧めしません。
また汚れに対しても弱く、液体をこぼした場合はその箇所が硬化し、色が変わって見えることがあります。
シルク絨毯はクムならびにクム絨毯のコピー品を製作しているザンジャン、マラゲのほか、カシャーンやグーチャンでも製作されています。